香る映像−映画『パフューム』その1 (1/3)
2009年6月5日金曜日 09:43

【映画 『パフューム −ある人殺しの物語』】
公開:2007年
監督:トム・ティクヴァ
出演:ベン・ウィショー、ダスティン・ホフマン、アラン・リックマン
18世紀、パリの魚市場で産み落とされたグルヌイユは驚異的な嗅覚を持っていた。
青年に成長したある日、赤毛の少女が発する至福の香りに出会うが、夢中になるあまり彼女を殺してしまう。
死と共に香りも消えてしまうことを知った彼は、香りを永遠にとどめておく方法を探るため調香師に弟子入りし、さらなる技を求めて、“香りの聖地”グラースへ向かう。
途中、自分自身に体臭がないことに気づき衝撃を受けるが、やがて運命の香りと再会する。
公開当時から気になっていたのですが、先に見た友人の、
「か・な・り・グロ」
という感想に恐れをなして劇場まで足が動かず、最近やっとDVDで観る事ができました。
気合を入れて画面に向かいましたが、冒頭のパリの魚市場のシーンは強烈です。
魚の臓物の臭い、ネズミの臭い、人の排泄物、血の臭い・・・
凄まじいまでの悪臭を感じさせる映像の連続。
18世紀ごろ、すでに大都市であったパリは“悪臭の都”としても有名だったそうです。
人々はゴミや汚物を平気で道端に投げ出していたので、それらは人に拾われるか、雨で流されるかを待つだけ、また、十分に入浴する習慣がなく、体臭を消すために香水が発達したとか。
この話を本で読んだとき、「このパリにだけは行きたくない〜」と思ったものですが、無理やり連れていかれました。大画面で見なくて良かった・・・(涙目)
しかし、これでもかと悪臭の映像を見せ付けられると、だんだん慣れるというか、嫌悪感が薄らいできます。悪臭もかぎ続ければ悪臭と感じにくくなる(嗅覚の順応性)を映像で体験してしまうのです。
香りを描いてみせる−香りの視覚化、映像化というのは、とても難しいと思うのですが、この映画は、悪臭を含めた様々な匂いとともに、誰もが惹きつけられるような良い香りもよく描いています。
それは、モノクロように地味だった画面に溢れだす色彩だったり、登場人物たちの口元の綻び、恍惚とした表情だったり。
さんざん悪臭を嗅がされた後だけに、良い香りと出会う悦びが一層高まるのです。
いや、実際には何の臭いも香りも嗅いではいないのですが・・・確かに嗅いだ、香ったと感じさせてくれる映画でした。



