良い香り・悪い香り−映画『パフューム』その3 (3/3)

2009年6月26日金曜日 03:24

 パフューム3

生まれながらに鋭い嗅覚をもつ『パフューム』の主人公は、良い香り・悪い香りを区別することなく、片っ端から身の回りの香りを嗅いで成長します。
まるで赤ん坊が何でも物を口に入れてしまうように、香りを嗅ぐことで、自分を取り巻く世界を確かめているかのようです。
その世界は、私たちが見て・聞いて・触って捉えている世界とは全く違う様相かもしれません。

この世には多くの香り・臭いが存在しますが、私たち人間が好ましいと感じる香りは、そのうちの少し(20%ぐらいとも)と言われています。
また、嗅覚は非常に個人差があって、人によって好ましい香りが異なり、香りの種類・強さを識別する能力にも幅があるそうです。

この主人公の前には、凡庸な嗅覚をもつ私より遥かに多種多様な香りが広がっているのだろうと考えます。
さらに、香りの正体といいますか、良い香りに微かに含まれる悪臭、また、悪臭のなかに埋もれた良き香りも感じ取れるのでしょう。

犬にも勝るような主人公ほどの鋭い嗅覚を持ちたいとは思いませんが、こと好ましい香りに関しては、今よりもっと繊細に、香りの世界を感じ取れるようになりたいです。まだ知らぬ世界への好奇心であり、「もっと良い思いがしたい。至福を味わいたい」というスケベ心から来る願いです。
そのためには・・・・白猫堂のご主人の教えの通り、良い香りにふれる機会を増やして感受性を鍛える。]
まずは、これが一番の早道かな、と思います。

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香水と音楽−映画『パフューム』その2 (2/3)

2009年6月16日火曜日 03:23

パフューム2

香水と音楽。
両方とも人間が作り出すもので、眼に見えない芸術品といって良いでしょう。

映画『パフューム』では、売れない調香師バルディーニ(ダスティン・ホフマン)が、超人的な嗅覚をもつ主人公に、音楽にたとえて香水作りをレクチャーします。

−香水と音楽はよく似ている。香水にも和音がある。
−香水は、選ばれた4つの香料(音符)がハーモニーを奏でる。
−また3つの和音からなる。それは、頭(ヘッド)、心(ハート)、土台(ベース)。
−頭(ヘッド)は第一印象。香りは数分。
−心(ハート)は主題。数時間は持続する。
−土台(ベース)は数日ほのかな香りが漂う。残り香だ。
−香水を作るには12種類の香料が必要となる。

作曲家は、様々な個性をもつ音を抽出し、それらを組み合わせ、時間のなかに配置することでひとつの音楽を作り上げます。
香水もまた、プロローグからエピローグまで、調香師によって香りの変化を設計され、作られているのですね。

このシーンで、私は『アマデウス』という映画を想い起こしました。
主人公が天才音楽家モーツアルトに、調香師が才能のない音楽家サリエリに重なります。
香水が音楽であるならば、作曲と同じく、優れた香水作りには、香りの知識・経験だけではなく、香りに対する鋭い感受性、そして何より魅惑的な、斬新な香りをイメージする力、豊かな創造力が必要です。

知識はあっても香りの感受性が衰え、想像力が枯渇した調香師。
これを、私的には“世界で一番立派な鼻をもつ名優”ダスティン・ホフマンが演じているところが可笑しくもあり、何やら物悲しい旋律−香り−が聞こえてくるシーンとして強く印象に残っています。

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香る映像−映画『パフューム』その1 (1/3)

2009年6月5日金曜日 09:43

パフューム1

【映画 『パフューム −ある人殺しの物語』】 

公開:2007年
監督:トム・ティクヴァ
出演:ベン・ウィショー、ダスティン・ホフマン、アラン・リックマン

18世紀、パリの魚市場で産み落とされたグルヌイユは驚異的な嗅覚を持っていた。

青年に成長したある日、赤毛の少女が発する至福の香りに出会うが、夢中になるあまり彼女を殺してしまう。

死と共に香りも消えてしまうことを知った彼は、香りを永遠にとどめておく方法を探るため調香師に弟子入りし、さらなる技を求めて、“香りの聖地”グラースへ向かう。

途中、自分自身に体臭がないことに気づき衝撃を受けるが、やがて運命の香りと再会する。

公開当時から気になっていたのですが、先に見た友人の、
「か・な・り・グロ」
という感想に恐れをなして劇場まで足が動かず、最近やっとDVDで観る事ができました。

気合を入れて画面に向かいましたが、冒頭のパリの魚市場のシーンは強烈です。
魚の臓物の臭い、ネズミの臭い、人の排泄物、血の臭い・・・
凄まじいまでの悪臭を感じさせる映像の連続。

18世紀ごろ、すでに大都市であったパリは“悪臭の都”としても有名だったそうです。
人々はゴミや汚物を平気で道端に投げ出していたので、それらは人に拾われるか、雨で流されるかを待つだけ、また、十分に入浴する習慣がなく、体臭を消すために香水が発達したとか。

この話を本で読んだとき、「このパリにだけは行きたくない〜」と思ったものですが、無理やり連れていかれました。大画面で見なくて良かった・・・(涙目)

しかし、これでもかと悪臭の映像を見せ付けられると、だんだん慣れるというか、嫌悪感が薄らいできます。悪臭もかぎ続ければ悪臭と感じにくくなる(嗅覚の順応性)を映像で体験してしまうのです。

香りを描いてみせる−香りの視覚化、映像化というのは、とても難しいと思うのですが、この映画は、悪臭を含めた様々な匂いとともに、誰もが惹きつけられるような良い香りもよく描いています。
それは、モノクロように地味だった画面に溢れだす色彩だったり、登場人物たちの口元の綻び、恍惚とした表情だったり。
さんざん悪臭を嗅がされた後だけに、良い香りと出会う悦びが一層高まるのです。
いや、実際には何の臭いも香りも嗅いではいないのですが・・・確かに嗅いだ、香ったと感じさせてくれる映画でした。

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煙の重さ−映画『スモーク』

2009年5月13日水曜日 12:45

焼香の煙

【映画『スモーク』】

   公開:1995年  監督:ウェイン・ワン  出演:ハーヴェイ・カイテル ウィリアム・ハート

 

ニューヨークの下町といっていいのでしょうか。

ブルックリンの煙草屋を舞台に、そこに集う人々の姿を淡々と描いた作品。

登場人物は、毎日、同じ時刻に同じ街角の写真を撮り続ける煙草屋の主人、ヤク中の娘に悩む煙草屋主人の元恋人、家族を事故で失って執筆できなくなった小説家、小説家を交通事故から救った家出少年などなど。

皆、街並みに溶け込みそうな平凡な容姿。そして、何かしらワケ有りで、どこかに痛みを抱えているという、まあ普通の人々です。

映画は、こんなシーンから始まります。

煙草屋の主人と常連客がいつもの馬鹿話をしているところに、これも常連客の小説家がやってきます。

煙草屋の主人の「今、シガー(煙草)と女についての哲学話していた」という言葉を受け、小説家は英国に煙草を紹介したウォルター・ローリー卿のエピソードを語り出すのです。

 小説家 : 「ウォルター・ローリー卿は宮廷にシガーを流行させた人物。エリザベス女王の寵愛を受け、女王をクィーン・ベッシーと呼んでいた。ある日、彼は女王に“シガーの煙の重さは量れる”と言った」

 店の客 : 「馬鹿な・・・空気と同じだぜ」

 小説家 : 「あるいは“魂は量れる”というようなものだ。 ローリー卿は利口な男で、まず新しいシガーを一本。 それを秤に乗せて重さを量った。 それからシガーに火をつけ、秤の皿に灰を落とした。 シガーを吸い終わると吸殻も皿に入れた。そして、灰と吸殻の重さを吸う前に量ったシガーの重さから差し引いた。 その差が“煙の重さ”だ」

立ち昇る煙草の煙は、重さを感じさせません。

空気より軽く、捉えがたい存在だと思っていました。

しかし、なるほど、煙にも重さがあるのですね。

煙の重さが量れるのなら、魂にも重さがあって、やはり量れるのかもしれません。

失った家族の存在や、離れ離れになった恋人や親や子への想い。

魂のように眼には見えない、煙のように捉えどころが無いものですが、これも確かに、しっかりとした重みをもつのだと思います。

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苺(いちご)の香り

2009年5月1日金曜日 04:28

苺の香り1

 苺、とパソコンで打ってハタと初めて気づきました。
苺という漢字は、苺の形そのものなんですね。
頭にヘタがあって、ツブツブがあって・・・・

いや、そんな話はどうでも良いのですが・・・・
ゴールデン・ウィークの初日、
生まれて初めて、苺狩りを体験しました。
昨秋の葡萄狩りに続き‘狩り’シリーズ第2弾です。

秩父の苺農園。大人1,000円で1時間食べ放題。

『食べ放題』と聞くと俄然テンションが高まる私。
当然(?)、昼食前の空腹時に入園です。

こちらの農園の苺は『栃乙女』。
 ‘狩り’スタート前に、農園の方から美味しい苺の見分け方を教わりました。
美味しいのは、小さめで濃く赤く色づいたものなのだそう。

苺の香り2

教わったような苺を探し出して食べてみると・・・なるほど、美味しい!

苺の香りも、熟し方によって違いがあることを改めて発見しました。
まだ若い苺は、青林檎のような香り。
よ〜く熟した赤い苺は、まさに苺の香り、なのですが、どこか甘い葡萄のような香りも感じます。

晴天に恵まれたその日、苺ハウスのなかは、ほんの少し土の香りと、思わず顔がほころぶ様な苺の香りで満ちていました。

結局、『食べ放題』で、どれぐらい食べたか、というと・・・
スーパーなどで売っている苺のパック2つ分ほど。
思ったより沢山は食べられませんでした。

うん? 1,000円だと、苺のパック2つ買えちゃいますね。
でも、新鮮な獲れたて苺を味わえましたし、街では買えない良い体験をしたと思います。

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    広松(ひろまつ)

    老舗の香屋「白猫堂」 (しろねこどう)で香屋見習いをしている。お香と店に愛着をもっているが、何事も少々(かなり?)憶えが悪い。

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    香屋「白猫堂」の店主。博識で200年以上生きているという噂もある。オートバイ、自転車をこよなく愛するスポーツマンでもある。

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    香屋「白猫堂」主人に寄り添う美人。朗らかで周囲を和ませる。時に主人より手厳しい面も。いざとなったらやるタイプ。

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